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投稿前に知っておきたいこと

在職中に会社の口コミを書くとどうなる?退職後との違いを整理

いま働いている会社について、口コミサイトに書き込みたいと考えることがあります。

転職を検討している段階で、自分の職場を客観的に見たとき。あるいは、これから応募しようとする人に知っておいてほしいと感じたとき。

ただ、在職中の投稿は退職後と比べて考慮すべき点が増えます。この記事では、その違いを整理します。

なお、本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。

在職中と退職後で何が違うのか

法的な論点の多く、たとえば名誉毀損の成立要件などは、在職中でも退職後でも基本的な考え方は変わりません。この点は退職した会社の口コミは書いていい?法的リスクと注意点を整理で扱っています。

在職中に固有なのは、雇用関係が続いていることから生じる問題です。

在職中 退職後
就業規則の適用 ある 原則なし(秘密保持義務等は残る場合あり)
懲戒の可能性 ある なし
人事評価への影響 ありうる なし
日常的な接触 ある 原則なし
秘密保持義務 ある 残る場合が多い

以下、順に見ていきます。

就業規則との関係

多くの企業の就業規則には、会社の信用を毀損する行為を禁じる条項があります。表現は企業によって異なりますが、「会社の名誉・信用を傷つける行為をしてはならない」といった内容が一般的です。

この条項に違反したと判断された場合、懲戒処分の対象とされる可能性があります。

ただし、ここで注意したいのは、就業規則に定めがあれば、どんな投稿でも当然に懲戒できるわけではないという点です。懲戒処分が有効とされるには、行為の性質や情状に照らして相当といえる必要があります。事実にもとづく労働条件の記述と、根拠のない誹謗中傷とでは、評価は当然に異なります。

とはいえ、処分の有効性を争うには相応の負担が伴います。「最終的には争える」ことと「処分を受けずに済む」ことは別の問題です。

確認しておきたいこと

  • 就業規則にSNSやインターネット上の発信に関する規定があるか
  • 入社時に署名した誓約書に、同様の条項が含まれていないか

近年は、SNS利用に関する規定を設ける企業も増えています。自社の規定を確認しておくと、判断の材料になります。

内部通報制度という選択肢

在職中に問題を指摘したい場合、口コミ投稿とは別に、内部通報制度の利用を検討する余地があります。

一定規模以上の事業者には、公益通報に適切に対応するための体制整備が義務づけられており、通報したことを理由とする不利益取扱いは禁止されています。

制度の実効性は企業によって差がありますが、法令違反にあたる事実を指摘したい場合には、まず検討する価値のある手段です。口コミサイトへの投稿は、こうした社内の手段を尽くした後の選択肢として位置づけることもできます。

ただし、通報者が事実上推測されてしまうケースがあることは、制度の課題として指摘されています。

人間関係への影響

法的な論点とは別に、実務上こちらの方が重く感じられることがあります。

退職していれば、特定されたとしても日常的に顔を合わせることはありません。しかし在職中は違います。

企業口コミプラットフォーム「TrustScope」を運営する当社が退職経験者500人を対象に実施した調査では、投稿を控えた、または内容を控えめにした理由として「元の上司や同僚との関係が悪化しそうだったから」を挙げた人が29.7%にのぼりました。これは退職者を対象とした数値であり、在職中であればこの懸念はより強く働くと考えられます。

投稿が社内で話題になった場合、書き手が誰かという推測が始まります。仮に特定されなかったとしても、疑いを向けられる状況そのものが働きづらさにつながることがあります。

特定されやすさの違い

在職中の投稿は、内容から書き手が推測されやすい傾向があります。

  • 記述している出来事が新しく、社内の記憶に残っている
  • 現在進行形の状況を書くため、当事者が限られる
  • 「最近辞めた人」ではなく「いま社内にいる誰か」として探される

特定につながりやすい記述の型については職場の口コミで特定されない書き方は?投稿前に見直したい6つの観点で整理していますが、在職中はこれらの点により注意が必要です。

転職活動中の場合

転職を進めている段階であれば、退職後まで待つという選択肢があります。

投稿の価値は、すぐに書くことによって生まれるものではありません。数か月後に書いても、情報としての意義は変わらないはずです。一方で、在職中に固有のリスクは、退職によってその多くが解消します。

急いで書く理由が明確でないなら、時期をずらす判断は合理的です。

整理すると

  • 名誉毀損などの法的論点は、在職中も退職後も基本的な考え方は同じ
  • 在職中は、就業規則にもとづく懲戒の可能性が加わる
  • 内容の新しさから、書き手が推測されやすい
  • 日常的な接触があるため、特定された場合の影響が直接的
  • 法令違反の指摘であれば、内部通報制度の利用を検討する余地がある
  • 退職予定があるなら、時期をずらす判断も選択肢になる

在職中に書くことが常に避けるべきというわけではありません。ただし、退職後と同じ感覚で判断するのは適切ではない、ということです。


この記事について

本記事に記載した調査データは、企業口コミプラットフォーム「TrustScope」を運営する合同会社鳳エンジニアリングが2026年8月に実施した「職場情報と企業口コミに関する意識調査」(全国20〜59歳の退職経験者500名、インターネット調査、有効回答500名、調査期間2026年8月10日〜13日)にもとづきます。回答者の56.0%を50代が占めており、全体の数値を就業経験者全体の傾向として一般化することはできません。

本記事は一般的な情報の整理を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の事案の判断については、弁護士等の専門家にご相談ください。

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